指先が手ざわりを探す。耳は聞こうとして張りつめる。恋人は言葉を失う。気づかれないまま、立ち止まるに値するものがある。残していくものがあり、渇くものがある。私たちに肌を寄せてほしい。私たちを聞いてほしい。一つの点からもう一つの点へ、私たちを探してほしい。寄せては返す砂の音に、耳を澄ませてほしい。あなたと私のあいだの緊張。過去の匂い。「Klumpen i magen」、腹の底のしこり。聞こえるか。触れるか。
「Beröringspunkter」へようこそ。記憶をたどり、耳を澄ませ、視覚ではなく身体で探ることへと誘う、感覚の展覧会です。香り、音、彫刻、インスタレーションと、それぞれ異なる実践から出発した5人の作家が、来場者と作品を記憶と感覚の出会いのなかで結び直すことを目指し、6点の作品を制作しました。
Parallel Collective GalleryはRegion Stockholmの支援を受け、スウェーデン視覚障害者協会(SRF)、および視覚障害のある美術家と工芸家の団体であるSKKFとの対話のもとで、キュレーションの手法を開発するプロジェクトを立ち上げました。美術やミュージアムの領域におけるアクセシビリティの研究は、限られた資源で運営される小規模な会場をほとんど扱ってきませんでした。そこで本プロジェクトは、限られた予算と、改修のきかない建物のなかで活動する小さな芸術の場が、作品の芸術的な質とキュレーションの判断を損なうことなく、視覚に障害のある来場者を迎え入れられる手法を開発し、検証することを目的としています。特定の層だけに向けた配慮ではなく、来場者全体にひらかれた鑑賞の経験を目指すものです。
本展には、認定を受けた音声解説者とともに制作した音声ガイドが付随し、各作品の作品テキスト、作家情報、音声解説を伝えます。素材の選定や安全性から、教育的な配慮とキュレーション上の判断にいたるまで、プロジェクトの手法と知見はデジタル・レポートにまとめられ、地域内の他の美術機関と共有されます。ここに本プロジェクトの手法開発の核があります。
本展の2人のキュレーターの1人、Kays Ismailは次のように語ります。
「The exhibition was built for touch from the start, not adapted afterwards. Art does not have to be something you are only allowed to look at. The curiosity comes from Kajsa Frisk and me. We have always wanted to touch the works in galleries, to feel the material and understand how something is made. A lot of galleries feel closed, as if the art were not meant for everyone. That is what we want to change.」
作品には近づき、手で触れ、すべての感覚で確かめていただけます。ただ、やさしく触れていただくようお願いします。音声解説は各作品のそばに示されています。
キュレーション:Kays Ismail、Kajsa Frisk